当社の創業科学者である理化学研究所の横山茂之博士らは、長年の構造生物学研究におけるタンパク質調製法の技術開発により、従来の問題点を解決し、機能構造を維持した膜タンパク質調製を可能にする画期的な方法を開発しました。
本調製法は、界面活性剤と脂質とを共存させた無細胞タンパク質合成系において、合成された膜タンパク質ポリペプチド鎖に脂質・界面活性剤混合ミセルが結合し、適切な部位に適切な脂質が選択的に結合することにより、正しく折りたたまれた脂質-界面活性剤-ポリペプチド鎖の集合体を徐々に形成するものです。
最終産物として調製される、生体内環境と同様の正しい機能構造を有する膜タンパク質を、脂質および界面活性剤が結合した脂質・界面活性剤混合プロテオミセルとして効率良く製造することができます。
本調製法を用いることにより、天然型の膜タンパク質を、熱安定化変異を導入することなく、機能構造を維持した膜タンパク・脂質複合体として高純度で調製でき、従来の方法では困難であった精製や単離が可能となることで、膜タンパク質を標的とした創薬研究におけるボトルネックを解消し、画期的な新薬候補化合物の創出を加速させます。